誰が儲かるのか?第三セクターについてちょっと。「俄・難波遊侠伝」

つうことで、もうかりまっか?ぼちぼちでんなぁ。とも言っていられない昨今のつきなみ♀です。

ご存知シーガイアの実質倒産で、俄かにと言うか再度第三セクターが注目されている。そ言えば、「俄・浪華遊侠伝」って司馬遼太郎さん原作で、ドラマの王道、木下恵介監督の「人間の歌」シリーズだったんだよね。監督は 千束北男さんなんだけど、この方はウルトラQウルトラマンの脚本・監督として名高くて、ちなみに「金曜日の妻たちへ」シリーズのプロデューサー・監督、そして 今やOLのカリスマと言うか一番絞りのねぇちゃんというかの、中山美穂リンのおっぱいポロリで有名な「毎度お騒がせします」の企画者としても有名だ。って関係無いけど。

それはともかく、第三セクターっつうのは、中曽根さんが首相だった時代に「民間事業者の能力による特定施設の整備の促進に関する臨時措置法」(昭和61年)ってのが基になって、「第三セクター」という奇怪と言うかリスクヘッジと言うか責任誰が取るンやねん?っていう手法が取られた。

一応その主旨ってのは、「第三セクターとは民間企業と公共団体の共同出資による事業体(株式会社)であり、公益的な役割を担うと共ともに収益事業を実施しようというものである」って事なんだけど、「民間企業の経営ノウハウと公共団体の社会的信頼性を背景として、公益性を発揮しながらも自立し得るという理想的な自治体として運営される事が期待されている」ってはずが、実際にはそんな美味い話はないわけで、現在、経営自体がヤバヤバな法人いっぱいだったりするんだよね。

問題は、すげぇーいっぱいある訳なんだけど、特に指摘されるべきは出資に至る経緯と第三セクターの職員構成なんだよね。これはしつこくて申し訳ないんだけど公益法人の問題ともリンクする。

勿論、地方自治体が出資する場合は法にのっとった手続きは必要なんだけど、その首長は当然選挙で選ばれる訳で、それを審議する地方議員さんも選挙で選ばれる。そして第三セクターの職員は、どうやって採用されどのような身分保障かってのは推して知るべしっていうか、見事に公益法人のケースとリンクしている事が多いんだよね。勿論、ちゃんとやっている処もいっぱいあるんだけど、困った事にそういう処に限って給与が安かったりする。何なんだよいったい?

いまいち知られていなかったりするんだけど、下関の「日韓高速船株式会社」に対する市民訴訟は1998年山口地裁で原告勝訴の判決が出た。被告は前市長である亀田博氏で被告補助参加人が下関市というある意味珍しい構造だ。判決主文を引用すると
「被告は、下関市に対し、金八億四五○○万円及び内金四億六五○○万円に対する平成六年七月九日から、内金三億八○○○万円に対する同年八月一四日から、いずれも各支払済みまで年五分の割合による金員をそれぞれ支払え。」

ってもんだ。訴状の内容を大雑把に括ると訴訟自体の対象は

「破綻した第三セクター・日韓高速船㈱に対して、それも手形の連帯保証人などをはずすためなどの債務整理のため支出した下関市補助金は、地方自治法に定める『 公益上必要ある場合』という要件を満たしておらず、違法・不法行為である」

って事なんだけど、勿論ほんとは設立の経緯や運営にも問題があったから、破綻したのは言うまでもない。

そもそも、象徴的なのはこの事業はバブル真っ盛りな平成元年に「関釜高速船就航実現に関する決議」を市議会は全会一致で採択した。そんで三菱総合研究所に可能性調査を委託した回答は「高速船は充分な採算性が見込まれ、近い将来、優良事業に発展する」って言うんだから驚き、桃の樹、山椒の樹ってなもんだ。大丈夫か?牧野昇さんの経済評論を有難がっているおとうさん達!

そんで出て来るのが「社団法人下関21世紀協会」ってやつで、これにまた下関市も出資するは、一時期は職員を派遣するはで、何をか言わんやなんだけど、こいつが第三セクターの推進役ともなって行くんだよね。今は理事長と専務理事だけになってほとんどなんにもやっていないんだけど。ちなみに現理事長様は地場の大手工務店の社長さんなんだよね。って別にこの人が悪い訳じゃないんだけど。

今年の3月には広島で高裁判決が出るはずなんだけ、この教訓っていうか構造は第三セクターの姿を象徴しているような気がする。

「俄・浪華遊侠伝」は幕末から明治の動乱期を生きた侠客、明石屋万吉の一代記だ。司馬作品としてはどないやって気もするし、ドラマは木下恵介劇場の中では、無茶苦茶視聴率が悪かった。すごい大雑把に言えば豪快で魅力的な人物像なんだけど結局子分が増え、勢力が増すと色んな勢力に利用されるようになり、しがらみに巻かれてゆく。司馬氏も一生を追わずそこで筆を置いているんだけど、日本的な、しがらみに巻かれた政治のままで、ほんとにやっていけるんだろかいな、なんて思いながら、インスタントラーメンが煮えたのでまたね<=おい!